RNAi関連用語集
siRNA、miRNA等のRNAiに関連する用語の解説です。
Annealing(アニーリング)DNAやRNA分子は塩基間を水素結合で結合することにより二重らせんや高次構造を形成しているが、これを水溶液中で加熱すると、ある温度以上で水素結合が切断されて1本のヌクレオチド鎖となる。この溶液の温度をゆっくり下げると、相補する配列と再び水素結合し、二重らせん構造を形成する。これをDNAまたはRNAのアニーリングと呼ぶ。
DroshadsRNA特異的リボヌクレアーゼ。Primary microRNAを切断しpre-microRNAを産生する。
DicerRNase Ⅲ様のエンドリボヌクレアーゼ。長鎖のdsRNAを細胞内でsiRNAへと切断する。また、pre-microRNAを切断し、短鎖の
<microRNA/microRNA*>2本鎖RNAを産生する働きをもつ。
siRNA二量体によってRNAiが誘導される時、そのsiRNA二量体を形成する片方のsiRNA鎖が、スライサー活性(RNAの切断活性)をもつAgo2タンパク質を中心としたタンパク質複合体と共にリボ核タンパク質複合体を形成する。このリボ核タンパク質複合体をRNA-induced silencing complex(RISC)と呼ぶ。このRISCに取り込まれてRNAi活性の重要な配列特異的メディエーターとなるsiRNA鎖をguide siRNAと呼ぶ。それに対し相補的な反対鎖のsiRNAをpassenger siRNAと呼ぶ。
Housekeeping gene(ハウスキーピング遺伝子)ほぼ全ての細胞で発現している遺伝子で、細胞が生きていくために必要な基本的機能を担っている遺伝子群を指す。例えば、構造タンパク質(β-Actin,α-Tubulin)、エネルギー代謝系の酵素(HPRT)、タンパク質合成に関わる遺伝子(L19)などがある。
ハウスキーピング遺伝子は主にポジティブコントロールとして用いられる。また、マイクロアレイを使った発現プロファイル解析やRT-PCR解析、ノーザンブロット解析やウエスタンブロット解析などでは目的遺伝子の発現量の比較や定量化のための内部標準遺伝子として利用される。
遺伝子の発現を抑制すること。主に、RNAiによって遺伝子発現抑制を誘導すること、あるいはその効果のことを指すものである。遺伝子を欠失させることによって完全に発現を消失させる手法であるKnockout(KO)は確立した遺伝子解析手段であるが、より迅速に遺伝子解析を進めたい場合はRNAiによるknockdownが簡易で便利な方法として用いられる。
Liposome(リポソーム)細胞膜の脂質二重膜を模したもの。一つの分子上に親水性部分と疎水性部分とを持たせた分子から作られる複合体。内部にDNAやタンパク質などを含ませることができ、細胞と融合させて内部の分子を細胞内に導入する実験に利用される(リポフェクション)。
mature miRNA(microRNA, mature-microRNA)pre-microRNAがDicerにより切断され産生する16~29塩基程度の2本鎖RNAのうち、RNAiのための機能を有する1本鎖。mature microRNAはpre-microRNA内の5’側、3’側または両方に位置する。
miRBaseSanger Instituteが管理するmicroRNA情報データベース。
Off-target(オフターゲット)siRNA配列が標的遺伝子以外の遺伝子配列と類似する場合、この期待しない遺伝子もノックダウンする可能性がある。これを配列特異的オフターゲットとよぶ。
Primary miRNA核内でゲノムよりRNA pol Ⅱにより転写される数百~数千塩基長のRNA。キャップ構造やpoly(A)テールをもつ。
Precursor miRNA(pre-microRNA)核内でprimary miRNAがDroshaにより切断され生じる70塩基程度のステム-ループ構造をもつRNA。多くはExportin-5を介して細胞質に移送される。
RISC(RNA induced silencing complex)dsRNAを導入することによって誘導される、配列特異的なRNAiを行う活性をもった複合体。標的RNAを切断する活性をもったArgonaute2(AGO2)などの構成因子が会合し合って形成される。siRNAのパッセンジャー鎖はAGO2によって切断され取り除かれ、ガイド鎖が一本鎖となる。
RNA polymerase(RNAポリメラーゼ)アデニン、グアニン、チミン、ウラシルなどの塩基と糖鎖が結合したヌクレオシドを重合して、RNAを合成する酵素のこと。真核生物では、rRNA先駆体を合成するRNAポリメラーゼⅠ、mRNAなどの合成を触媒するRNAポリメラーゼⅡ、tRNA、snRNAや5S rRNAなどの合成を触媒するRNAポリメラーゼⅢがある。
RNase(Ribonucleic acid nuclease)RNA鎖のホスホジエステル結合を切断することにより、RNAを分解する酵素の総称。分解する基質の特異性は多様で、一本鎖RNA、二本鎖RNA、DNA-RNAハイブリッド、tRNAを特異的に切断するもの等がある。また、塩基の種類に関わらず分解するタイプと塩基特異的に分解するタイプがある。それらのうち、分子生物学実験にも広く利用されている一本鎖特異的RNaseとしてピリミジン塩基特異的エンドヌクレアーゼRNaseT1がよく知られている。また、二本鎖RNAを切断する酵素群はRNaseⅢと呼ばれ、細胞内でsiRNAを作り出すDicer、Droshaはこのグループに属する。
RNaseⅢdsRNAを切断するリボヌクレアーゼ。細胞内でsiRNAを作り出すDicer、Droshaもこのグループに属する。生体内において、RNAのプロセッシングや、ウイルスRNAの分解を行う。dsRNAの切断には少なくとも2回のらせん状回転構造が必要とされる。RNaseⅢによって切断されたdsRNAの3’末端は、相補鎖に比べ2塩基突出した構造となる。
RT-PCR(reverse transcription-polymerase chain reaction)遺伝子から転写されるRNAの存在有無やその発現量を調べるために用いる方法の1つである。まず転写されたRNAを鋳型に逆転写酵素(reverse transcriptase)を用いて相補的なDNA鎖を合成する[これを逆転写(reverse transcription)という]。次にそのcDNAを鋳型に目的遺伝子特異的なプライマーを用いてPCR増幅を行い、目的遺伝子の発現を解析する方法である。
Sense strand (センス鎖)/antisense strand(アンチセンス鎖)遺伝子から転写されたRNAやそれと同じ配列をもったRNA鎖(またはDNA鎖)をセンス鎖という。それに対して相補的な配列をもったRNA鎖(またはDNA)をアンチセンス鎖という。
shRNA(short hairpin RNA)RNAiを誘導する方法として前駆体miRNA(Pre-miRNA)をヒントに考えられたもの。18~29塩基のdsRNA領域と3~9塩基のloop領域を含む、ヘアピン状に折りたたまれた一本鎖RNA。これを発現させると、pre-miRNAと同じようにDicerによって切断され、siRNAが切り出される。このsiRNAによって標的RNAの切断・分解を誘導する。
siRNA(short interfering RNA : small interfering RNA)3’側が2塩基突出した構造をもつ21塩基前後のdsRNA。発現抑制したい遺伝子に対するsiRNAを化学合成し、これをトランスフェクション法などによって細胞内に導入すると、siRNAと相補的な配列をもつRNAが分解され、結果として標的遺伝子の発現が抑制される。
関連文献
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